BIRTHDAY CHASE


「ねえ、パパ」
「ん? 何だい、シンちゃん」
「あのねぇ……」
 マジックに抱き上げられた幼いシンタローは、にこっと笑った。
「おたんじょうびおめでとう、パパ」


 ――――――――………





 ザ…… ゴォ―――

 海の中を征く艦。
 マジックはシートに座していた。部下の声が彼のもとに届く。
「総帥、まもなく島に到着いたします」
「判った。着艦準備せよ!」
 マジックは、冷厳たる口調で命じた。次の瞬間、彼は、個人的な幸福にひたっていた。
「シンタロー……」
 夢見る瞳。本人の主観はどうあれ、端から見たら、ただのあぶねーおっさんである。ここら辺の茶々入れから既に、この話の運命は決まっているのであった。
「待っておいで、シンちゃん、今パパが行くよ……」


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